児島湖誕生の年に

 

「・・・ハイガイ、アゲマキ、アミ、シラウオ、シャミセンガイ、カブトガニなど皆だめになり、ウナギ、ハゼ、ボラなどが生きながらえて、新しく入って来たメダカ、ドジョウ、フナ、コ、ワカサギなども繁殖することであろう・・もっと著しい変化は昆虫類であろう.ユスリカが現れると間もなくカの類が大発生をすることであろう.そして各種の昆虫の天下となり、それにつれてカエル、ヘビ各種の鳥類が食を求めて集まり、繁殖することであろう.植物ではノリのような海藻はすぐ姿を消して、浮草、水草が繁茂し、岸にはアシが密生するのも間もないことであろう・・」1956(昭和31)年、児島湾締切堤防の潮止完成の年に書かれた「児島湾が淡水湖になると生物はどう変わるか」川口四郎(岡山大学理学部)より

 

児島湖誕生から22年を経て

 

「・・1978年の七区の稲作には煙害発生部分があったが、児島湖水を使用したところに不作が見られた・・ナス用の水源は用水路の溜まり水を使用しているのだが、夏季には水位が高くても冬季には低下するためポンプ使用を必要とし、それだけコスト高とならざるを得ない.ハウスイチゴは用水路の水を使用すれば枯れるので、入植初期に設置された天水ための水を活用するとともに水道水を利用しているので、これもまたコスト高である・・」1979(昭和52)年 月刊地理掲載「水稲生産調整下の児島湾干拓地農村」由比浜省吾より

 

 

「・・・現在の児島湾は、富栄養化が限界まで進行していると云われています.その第一原因は、児島湖からの放流水によるものと考えられます.即ち三日に1回の湖水の放流時には、堤防から旭川河口までの郡地先海面一帯は一面真っ黒な水となり、魚も寄り付かず、逃げ遅れた小魚が腹を返して水面近くをアップアップする情景をよく見かけます・・」1978(昭和53)年10月6日 岡山県定例県議会における宮原義久議員の一般質問より